最有力のEPUB
オープンな規格ということと、そのシンプルな構成から、北米など英語圏では事実上の標準となっている。反面、英語以外の言語への対応は十分とはいえない。
たとえば日本語を例に取ると、縦書きや傍点、割注といった書式に対応していない点が挙げられる。また、ふりがなは仕様には存在するものの、対応している環境が存在しない。
現在、HTML5をベースにしたEPUB 3.0 の策定が進められている。
EPUB のファイルの実態は、XHTMLとCSSのファイルをZIPで圧縮したあと、拡張子を「.epub」に変更したものである。
Kindle用のAZW
AZWは、アマゾンのKindle 用のフォーマットである。
Kindleは、MOBIフォーマットのファイルも閲覧できる。Kindle 用のフォーマットとしては、これら以外に「Topaz」というものがある。
Topazはフォントの埋め込みをサポートしているが、AZWと比べるとファイルサイズが大きくて表示も遅い。そのため、Topaz がAZWに取って代わるのかどうかは、いまのところわからない。
AZWに対応しているハードウェアは、リーダーのKindleだけだ。しかしアマゾン自身がWindows、Mac、iOS搭載機、そしてAndroid 搭載機の各環境に対応したリーダーアプリケーションを提供している。
そのため、さまざまな環境でKindle のファイルを閲覧することが可能だ。複数の環境で閲覧する際、読者の情報やどこまで読んだかの情報は同期される。
そのため、家ではWindows マシンの大きな画面で電子書籍を閲覧し、移動中にKindleのリーダーで続きを閲覧するといった使い方が実現する。
ボイジャーが開発した.book
.book(ドットブック)は、ボイジャーが開発した電子書籍の規格である。1990 年代から電子出版を手掛けてきたボイジャーは、現在「理想書店」という電子書籍プラットフォームを運営している。
その理想書店で販売されているのが、.book 形式の電子書籍だ。
縦書きやふりがなといった日本語特有の機能にも対応している点は、日本発の規格ならではの利点である。
対応する環境は、iOS やAndroid 搭載機、そして、WindowsやMac OS Xとなっている。Windows やMac OS X 用のリーダーアプリケーションT-Timeには、ユニークな「書き出し機能」(有償:1050円)が備わっている。
長い歴史を持つXMDF
シャープが開発した電子書籍の規格であり、同時に周辺技術のことも表わしている。
2001年にシャープが発売していた小型端末、「ザウルス」向けの電子書籍配信用として使われはじめたという歴史のある規格である。
.bookと同様に、縦書きやふりがなといった日本語特有のレイアウトを正しく表示することが可能だ。
NTTドコモやKDDI、ソフトバンクといった携帯電話キャリアが各社のサービス用として公式に採用していることもあり、日本国内ではかなり有力なフォーマットといえる。
シャープによれば、2010 年の段階でXMDFフォーマットの電子書籍は、テキスト中心ものが約3 万冊、コミックについては約6 万3000ファイルを数えるという。
またXMDF の電子書籍に対応する携帯電話は、3キャリア合計すると6000 万台以上にもなる。
さらに2010 年、電子書籍リーダー専用機「GALAPAGOS」の発売と同時に、XMDFのバージョンも3.0となった。GALAPAGOSの柔軟な表示機能はXMDF 3.0の機能によるものだ。
現在シャープは、XMDF 形式のデータを作成するアプリケーション「XMDFビルダー」を無償で提供している。
XMDFビルダーで作成したデータは、GALAPAGOS 用のストアなどで販売することができる。
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